【トライアル版】 ピーター・カーニック著書 “探究”読書会📚 『仮題:お金についての30の嘘(30 Lies about money)』 「お金を超えた本当の働く喜びと活力を再発見する。ライフソース・プリンシプル&ライフ・マネーワーク入門」
2025年1月29日。“探究”読書会が幕を開けました。この読書会の核にあるのは、ピーター・カーニック氏の著作『マネーバイアス』。8ヶ月という長きにわたって、それぞれの現場や暮らしの中で、「お金」や「仕事」、そして「生きる」ことに直面している参加者たちが集い、問いを立て、分かち合い、耳を澄ましながら、じわじわと“自分の在り方”を探究していく旅のはじまりです。その第1回の様子をレポートします。

1. 開会のあいさつ
「皆さん、ようこそ。今日から、長い旅が始まります。」
そんな言葉とともに幕を開けた初回の読書会は、あたたかく、静かに、でも何かが動き出していくような感覚に包まれていました。
開会の言葉に立ったのは、主催の有限会社人事・労務の矢萩大輔氏。
「お金をどう捉えるか」「お金によって生まれる不安やハラスメント」「余白のなさ」「心のスペースの欠如」……。そうした現代的なテーマが、いかに私たちの働き方や生き方を制限しているかを静かに語りながら、『マネーバイアス』という本がもつ“パワフルさ”に言及しました。

そして語られたのは、「遊ぶように働く」ことの大切さ。「それは、甘さではなく、“余裕”や“余白”の大切さを含んでいる」という示唆も共有され、そこにいた一人ひとりの胸のうちに、共鳴が起こっているようでした。
2. 『マネーバイアス』とは?
続いてマイクを取ったのは、『マネーバイアス』の翻訳を担ってきた吉原史郎さん。
「この本は、お金の本ではありません。お金を入り口に、私たちが“どう生きるか”に迫ってくる本です。」
史郎さんが繰り返し語ったこの一言が、『マネーバイアス』の本質を物語っていました。これは、制度や仕組みの話を超えて、自分の“ライフソース”――すなわち「誰もが自分の人生を生きている」という在り方そのものを問うてくる本なのです。
『マネーバイアス』という本を深く理解するには、自分自身が愛してやまないもの、熱量を感じるものの探求も大事な要素です。そこで、参加者は自分の背景に「情熱を感じる写真」に設定し、それについて共有しあう「ウェルカム写真・チェックイン」が行われました。
3. ピーター・カーニックの声に触れる時間
この日、参加者にとって特に印象深く、心に残る時間となったのが、著者ピーター・カーニック氏のインタビュー動画の視聴でした。この動画には、まだ世界的にも公開されていない貴重な内容が含まれており、『マネーバイアス』の根底にある想いや、彼自身の「在り方」に直接触れることができるまたとない機会でした。
動画に映し出されたピーターは、「死について考えたことがない」と語るほどに、“今ここ”に全身を投じて生きる人でした。その姿勢は、言葉や理屈を超えて、まさに「在り方そのもの」で何かを語っているような強い存在感がありました。
ピーターがこの本を通して伝えたかったのは、「お金」をどう扱うかという技術論ではありません。
本質的に大切にしているのは、人間同士のつながりや、自分自身との関係性、自然との関係性を見つめ直し、再びその“つながり”を取り戻すこと。
それらのつながりが、私たち自身の「お金観」によって、いつの間にか見えなくなってしまっている。だからこそ、その奥にある“ライフソースとしての在り方(Being)”――つまり、「誰もが自分の人生を生きている」という感覚を取り戻し、再び人生の熱量が湧き上がってくることを、ピーターは強く願っているのです。
また、翻訳チームの一人である史郎さんも、「この“ライフソース”という質感を、読書会を通じてみんなで一緒に探究していけたら」と語っていました。
史郎さんからは、ティール組織や自律分散型の組織づくりに関わってきた実践者としての視点から、いくつかの問いも投げかけられました。
・お金観が人とのつながりを分断しているのだとしたら、どうすればチームや組織の中で信頼を築いていけるのだろう?
・お金によって見えなくなってしまった“熱量”や“情熱”を、どうすれば再び取り戻せるのだろうか?
これらの問いは、『マネーバイアス』をただ読むのではなく、自分の現場や人生に引き寄せて考えるという、この読書会の本質的な姿勢を表しているようでした。
史郎さんは「この本はピーターから僕たちに対して、たくさんの問いが投げかけられています。それをみんなで探求したいと思います」と話しました。
4. 「つながり循環アート」:日常の小さな喜びから、人生の根っこへ
後半に行われた「つながり循環アート」では、「最近の小さな喜び」と「それを可能にしたつながり」をテーマに対話が行われました。
「今日、コーヒーが思ったよりおいしかった」
「落ち葉の山を冬のあいだにためて、春に使う準備ができた」
「子どもの寝顔を見て、ふと安堵した」
そんな一見何気ない体験の中にも、「人とのつながり」「自然とのつながり」「自分とのつながり」が確かに存在していることが、グループでの対話を通して浮かび上がっていきます。
ある参加者は、「この読書会の時間そのものにも“お金ちゃん”が流れている」と語りました。オンライン通信の環境、会の準備、運営…。どれも当たり前のように享受している中に、お金が、そして誰かの意図や愛が流れている。
『マネーバイアス』が見せてくれるのは、こうした“見えない繋がり”に光を当てるまなざしそのものなのかもしれません。
5. 「問い」を生きるということ
最後には、「問い」そのものについて考える時間も設けられました。
子どもの頃は誰もが持っていた「なぜ?」「どうして?」という純粋な好奇心。けれど大人になると、正解を求めるあまり、その力を手放してしまう――。

読書会では、「ライフソースって何?」「豊かさってどこからくるの?」「お金って、本当はどんな存在?」といった問いを、答えを出すためではなく、“一緒に生きていくために”立てていくことが大切にされていました。
会のクロージングでは、史郎さんがふとつぶやいた一言が、とても印象的でした。
「今日は、ただ集まっただけで、幸せで豊かだったと思います」その言葉通り、この読書会は、「問いを持つこと」「一緒にいること」そのものが、もうすでに“学び”であり、“答えのようなもの”だったように思います。
1月29日水曜 第1回【トライアル版】 ピーター・カーニック著書 “探究”読書会📚
『仮題:お金についての30の嘘(30 Lies about money)』 「お金を超えた本当の働く喜びと活力を再発見する。
ライフソース・プリンシプル&ライフ・マネーワーク入門」
文: ESコモンズ/三原 明日香
ライフソースという考え方を私たちに教えてくれたピーター・カーニックさんの書籍『マネーバイアス』の読書会、第2回。本が発刊されるまでのワクワク待ち遠しい時間を翻訳に尽力された方々とともに過ごさせていただいています。

書籍では、お金について語られているのですが、読書会ではお金のことを直接語り合う前のウォーミングアップのような時間を過ごすことができました。やっぱり一番大切なのは、私たちのB面、学校やビジネスや働くことのエネルギー源になっている、心がつながっているもの。グループにわかれて、あれこれお話できました。
まずは、最近の「小さな喜びを感じた出来事」の共有をしたのですが、こうやって問いかけていただかないと見過ごしてしまっていたことを思い出すことができました。何か大きなイベントとか用事はスケジュール帖に書いてあるけれど、小さな喜びって、日記にもわざわざ書かない自分に気づかされます。で、もう一歩深堀りして、どうして自分がそのことをうれしいって思えたのか、を問われました。はて、その喜びを受信できた自分って、どういう装置なのか、ということですよね。それは、これまでの自分の経験や出会い、興味・関心、成功体験、失敗体験、うれしいこと、悲しいこと、さみしいこと、頭にきたことなどなどがあったからこそ、感じることができたものだと思います。こうやってお題を頂いて考えてみて、自分の考えだけでなく、同じグループの方のお話を聞くことによって、同じ空の下で自分の経験を超えるおもしろいこと、あたたかい心の交流があることを知って、なんだか楽しい気持ちがふくらんできました。
そんな時間を過ごしたあとに、史郎さんから、マネーバイアスを通じて取り組むテーマとして、「どうやって私たちは豊かな協働を実践することができるのだろうか?」という投げかけを頂いたのですが、「豊かな」ということって、こういう小さなほっこりするような喜びが、たくさん集まることなのかもしれない、と思いました。「大きな喜び」というものは本当は大きいひとつのものではなくて、実は桜がきれいだなーと思うみたいな、ちょっと地味な可憐な花がいっぱい集まって全体で見るとすごく迫力がある、みたいなことかもしれない、と思いました。

次のお題は、問いづくりでした。これも仕事以外のことで聞かれると困ってしまうものでした。私は、ひとつ考えるのがやっとでしたが、同じグループの方は、山ほど書き出していて驚かされました。問いを書き出して、整理すると仮設ができる。この繰り返しが「探究」になる。そうでしたここは探究読書会。大きな問いや仮設も小さな問いをたくさん集めると
自然に導き出されるのかもしれないですね。桜理論と名づけよう。
読書前の読書会、いろいろなワークを楽しみながら、自分の考えていることを安心して投げかけられること、とても豊かな時間でした。あ、ここにも「豊かな」がありましたね。
この「豊かな」と「お金が豊かにある」ことのギャップを考えてみるとおもしろそうです。
2月26日水曜 第2回【トライアル版】 ピーター・カーニック著書 “探究”読書会📚
『仮題:お金についての30の嘘(30 Lies about money)』 「お金を超えた本当の働く喜びと活力を再発見する。
ライフソース・プリンシプル&ライフ・マネーワーク入門」
文: ESコモンズ/株式会社リーワード 土谷真喜子